佐藤氏×竿春対談(その1)
今回はギャラリー竿春がオープンして以来、遠路福島から足繁く通っていただき、僕の竿の大ファンである、佐藤敏行氏から見た竿春について、話していただこうとの企画を考えました。
竿の製作者はその背景に竿を認めて下さるファンがあって、はじめて成り立つ職業であり、ファンの人達が今、まさに何を欲しているのかが理解できなければ、良い作品はできない訳であります。
竿作りに携わる者は、従来ですと卸業者や小売店の主人からのみの情報しか入らず、必ずしも竿の使用者で有る一般ユーザーの正しい声が入ってくるとは限りません。
ギャラリー竿春(きよ志)を立ち上げたのも、竿春の独り言(ブログ)を始めたのも、皆さんの忌憚(きたん)のないご意見を聞かせていただき、竿作りに反映していければとのおもいからであります。
そのような中に、真の竿作りの本筋が見えてくれば、ユーザーに納得してもらえる竿が届けられると確信してのことであります。
最初に佐藤氏の僕の竿に関する簡単なご意見を伺い、僕も佐藤氏の人柄を手短に話した上で対談に入ります。
佐藤氏―竿春親方の竿は「本造り」の時に出会い、他の竿に比べパンチ力があり、自然と使用するようになった。
<釣具のときわ>で親方と影舟さんの「二人展」を観て、二人のジョイント作の竿を求めるために福島からきたが、すでに完売であった。
その時話題となった、ハイブリッド竿を購入して帰路についた。
以来、純正竹竿・ハイブリッド竿を含め相当数の親方の竿を収集し、休みになるや楽しんでいた。
現在お気に入りは『竿寿・高野竹9尺』が自分の手に良く馴染み、使いやすいです。
※――次々と新しい竿に挑戦していく竿春親方に一度会ってみたいし、竿にのめり込んでいけば、親方に会って竿の話を聞きたいのは人情であります――※
竿春―従来の問屋制や小売店の時代には、一般ユーザーが安易に我が家を訪ねることは出来ない暗黙のルールがあった。しかし、ギャラリー竿春を開店し、訪ねてくれるお客さんと対話が出来るようになった。
従って佐藤氏とも気楽に竿談義が出来るようになり、有難く感じている。佐藤氏の場合、竿を使ってくれて素直に竿の感触を竿師の僕に話してくれるし、徹底的に竿の機能に対して追及してくる。それはもう怖いですが、大変竿作りにも勉強になります。
※――竿の使用者はそれぞれに持っている感性が異なり、皆が同一ではない。竿師として多くの竿を使って下さる人々の意見を聞くことは、竿作りの上で欠かすことのできない勉強であり、今まで、何故かその様なことを余りしてこなかったことも、竿春を含め和竿の作り手は考えるべき時に来ているとおもいます。――※
※――※の内容は司会進行していただいた山根一郎氏の考えであります。