受け継ぐ技
竿ができるまで
ヘラ竿は、魚が掛かった時、美しく弧を描くような曲がりになるよう、真竹、高野竹、矢竹を組み合わせて1本の竿を作ります。竿の製作は、竹の採取に始まり漆塗りまで多くの工程があり完成までには1年近くかかります。ヘラ竿ができるまでの工程をご紹介します。
process-01
原竹の採取・乾燥・生地組み
真竹、高野竹、矢竹、それぞれの生息地で採取し、日当たりが良く風通しのよい場所で乾燥させます。作る竿の長さ、調子に合わせ生地組みします。
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原竹の採取
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原竹の乾燥
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生地組み
process-02
火入れ
カンテキ(七輪)いっぱいまでコークスを入れ、火の温度が安定している炎の元で竹に火入れをします。火入れで竹からにじみ出た油をふき取り、竹が柔らかくなったら矯め木で矯正します。竹の曲がりを矯正すると同時に焼きを入れ張りを出す、竹竿づくりで一番難しい作業です。火入れが甘いと魚を釣った時に曲がりぐせが出て、その後腰抜けになります。
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カンテキ
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火入れ
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矯め木
process-03
下地づくり
竹の節を錐で抜き、仕舞い込める様に中抜きします。作る竿の長さに合わせて竹を裁断し、節の芽を削り節の皮を切除して段差を研磨します。絹糸を玉口、穂持ちの節、穂先の節に巻いて補強します。
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中抜き
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芽削り
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絹糸巻き
process-04
漆塗り
胴や握りに漆を塗ります。湿度70%、温度20度を目安にして乾燥、水研ぎ、漆塗りを繰り返します。
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漆塗り
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乾燥
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水研ぎ
process-05
握りの装飾
握り部分に下地処理を施し、装飾をします。竿春では羽の装飾が人気です。
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メッシュ
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メッシュ・サメ
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マジョーラ・サメ
process-06
穂先削り、接続調整、銘入れ
穂先は先に行くほど細くなるように真円に削ります。削り方で調子を調整します。元、元上、穂持ち、穂先のすべてのパーツを継いで曲がりバランスを確認します。握りの上に焼き印、手彫りで銘と長さを記し、他のパーツにも銘を入れます。
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穂先削り
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弧を描く竿
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銘入れ
process-07
胴漆塗り、仕上げの火入れ
胴に指で漆を塗り、ふき取り仕上げを施して乾いたら研磨剤で光沢を出します。塗りと研磨を繰り返します。最後に竿を接続して曲がりを確認します。曲がっていたら、火力を落とした柔らかい火で修正火入れを行います。
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胴漆塗り
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仕上げの火入れ
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process-08
栓作り、竿袋の準備
玉口に合わせて竹、木材で栓を作ります。栓は玉口が割れるのを防止します。竿袋に銘、グレードなどを印刷します。
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栓作り
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竿袋の準備
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